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山暮らし体験レポート 永住利用

傾斜地の山林に暮らして20年

 
1999年に美作市の山林を購入し、大阪から移住された岡崎様ご夫妻。この土地で約20年。山の中での生活ぶりを取材させて頂きました。

◆山暮らしをしたいと思ったきっかけは?
もともと生まれは高知県の山奥で山育ちだったので、そのうちまた山で生活したいと思っていました。60歳が近くなってきたころに、大阪で営んでいた縫製業の仕事が少なくなってきて、ある日「そろそろ山で暮らそう」と急に思い立ったんです。その日に本屋に行って、不動産情報誌をひらいて見つけたのが「自然と暮らす」さんが扱うこの土地だったんです。

◆ほかの土地は見なかったんですか?
ここだけです。はじめて来た時はまだ雪が残る寒い季節でしたが、ここは買い物も駅も近いし、接面道路もしっかりしているのですぐに決めました。

◆家はすべて自分で建てたんですか?
はじめに木を切って道路沿いを造成し、9畳のプレハブを建てました。そこまでは業者にお願いしました。その後、隣地の間伐材をもらうことができたので、それを使って住みながら少しずつ自分で建て増しをしていき現在の形になっています。私らは雨がしのげる寝る場所さえあれば十分なんですよ。

建て増しを繰り返し現在の形に

建て増しを繰り返し現在の形に

太い丸太も自分一人で担ぎ上げた

太い丸太も自分一人で担ぎ上げた

◆傾斜の上の方にある建物はどうやって作ったんですか?
まず傾斜地を人力で造成し平坦な部分を作りました。道具は基本的にはつるはしを使いますが、大きな石が出てきたときはハンマーでたたいて砕き、木の根はのこぎりで切ります。建物の材料はすべて担いで斜面を登って運びました。4mの角材を運ぶのは大変でしたね。

◆電気・ガス・水道は?
1km圏内に電気が来ていれば無料で引けると聞いたので、電気は引きました。家に引き込むのに少しお金が要りましたが、前の道路までは無料でしたよ。ガスはプロパンです。水は業者に依頼して井戸を掘りました。16m掘った時点で水が出なくてさらに掘るか聞かれたんですが、ここまで掘ったからもう少し掘ってくれと言ったら17mで水が出たんです。あきらめなくてよかったですよ。

人力で造成した平坦部

手作りの階段を上る岡崎さん

傾斜地を造成していくつも小屋が建っている

電動ポンプで井戸水を吸い上げる

◆動物がたくさんいますね。ヤギは乳をしぼってるんですか?
ヤギの乳はしぼりません。ただ好きで飼っているだけです。ほかにはイヌが3匹、あとニワトリが7匹とコイも飼っています。ニワトリはちゃんと卵を産んでくれますよ。

◆どのような日常を過ごされているのですか?
畑仕事をやっています。人間が食べる分だけではなく、ヤギのエサも作っています。今の時期は草刈もよくやりますね。雨の日は大工仕事をやったりしているので休みはないです。つねに何かしらやっていますね。

2匹のヤギ

ヤギに水をあげる岡崎さん

◆山暮らしをしたい方へ伝えたいことは?
元気とやる気と根気。この3つがあれば誰でもできますよ。どれか一つでも欠けたらダメだと思います。

※取材後記※
敷地内にはあちこちに果樹が植えられていて、取材時ちょうど収穫時期だった梅をいただきました。暮らしやすいようにコツコツと土地を整備して、傾斜角40度以上はありそうな山林に自分で歩く道や階段を作ったり、造成して平坦部を作ったり、人力でここまでできるんだという人間の底力を感じました。平坦部のない傾斜地でも、やりようによっては人が暮らせる場所になる。「どんなところでも住めば都だ」という岡崎さんの言葉にはとても説得力がありました。(2018年7月取材)

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