移住先は岡山で一番寒いところ?!でも、地域の人はとてもあったかい!
◆田舎暮らしのきっかけは?
奥様:名古屋に居た時から、「いつかは田舎に住みたいね」と主人と物件を探していました。
孫が小学5・6年生の頃だったかな、娘に「働きたいから、息子のお稽古(バレエ)の送り迎えをしてほしい」と頼まれて。その時は主人がまだ働いていたので私だけ神戸に住む娘の所へ行き、後から主人も来たのですが、みんなで暮らすには神戸の家は手狭だったので、宝塚にマンションを購入することになりました。
その後、孫がバレエでドイツへ留学することが決まったのをきっかけに、最初の頃に思い描いていた田舎暮らしをしようと考えて。
ネットで見つけた自然と暮らすさんに物件を案内してもらってこの家に決め、今に至ります。
◆家探しをする上で、こだわりや決め手はありましたか?
奥様:主人は庭が好きなんです。そこに池もあったらいいなぁと考えていたので、この家の決め手は『庭付きだったこと』だったように思います。あと、田舎に来たら畑をしたい気持ちもありました。
旦那様:でも以前、娘や孫たちがこの家に遊びに来た時、「今の家じゃ狭いかも」と。
奥様:田舎に暮らすのは二人だけだから、間取りは狭くてもいいと思っていたんですよ。だけど、物をしまえるところが全然無くて。なので、裏にある蔵を収納に活用しています。
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◆移住して良かったと感じたことは?
奥様:私達の感覚では、「岡山は暖かいところ」だと思っていて。
旦那様:で、実際ここに来てみたら「岡山でもかなり寒いところ」だった(笑)。美作市と比べても2℃ぐらい違うね。
奥様:寒いのはちょっと大変かなぁ。
旦那様:でも地域の人がとても温かくて、よそから来た自分達を受け入れてくれたのはありがたかった。初めの頃はやっぱり警戒されたけど、受け入れてもらえたのは一番の救いだった。
奥様:この辺りは親戚同士が多いんです。普通ならそこで固まっちゃって中に入るって難しいけど、この地域の人はみんな仲良くしてくれて、仲間にも入れてくれて。今では親しいお友達もできました。
◆現在の暮らしについて教えてください
奥様:今の時期はまだ寒いから、コタツに入ってテレビを見てることが多いかな。ここに来た頃は寒くても外に出て畑仕事を頑張っていたけれども、一向にご近所さんの姿を見ないから聞いてみたら、「コタツのお守りをしてるよ」って言われて、あーやっぱりそうか、って(笑)。
夫婦二人だけって家が多いし、野菜を作っても余ってしまうから買った方がいいみたい。私達も作った野菜が余った時はご近所さんへお裾分けしています。
愛車のハーレーに跨る、若かりし頃の旦那様。 休日は仲間達とよくツーリングへ出掛けていたそうです。 |
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玄関には、ドイツの街で優雅に踊るお孫さんの写真が。 「向こうに居ても、こうやって写真を送ってくれるんですよ」 と、嬉しそうに語ってくださいました。 |
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敷地の一団下に広がる、約650坪もの広々農地! 右奥のハウス(付属物)もご夫婦で綺麗に管理されています。 |
◆田舎暮らしで、大変だと感じたことは?
旦那様:名古屋では公務員をやっていて、退職したら田舎で百姓を・・・と思っていたけど、まー大変だね! 若い人や、元々田舎で育った人とかだとそうでもないのかもしれないけど、自分たちは生まれも育ちも名古屋の町中。だから畑仕事がこんなに大変だと思わなかった。楽なもの・簡単なものだと甘く考えていたね。
奥様:昨年の4月、主人が心筋梗塞で倒れてしまって。「さぁ畑をしよう!」と苗を植えた矢先のことでした。本人は逝ってしまったら終いだけど「ここに取り残される私はどうなっちゃうの?!」って・・・まだ田舎に慣れてないのにね。
旦那様:あの時は悪いことしたなぁ・・・。
奥様:お陰様で後遺症もなく元気になってくれましたよ。でも、頑張っちゃう人だから、頑張り過ぎに気をつけてほしい。なので、今年の畑仕事は遅めに始める予定です。
旦那様:去年は(自分も世間も)色々あって大変だったけど、でも、ここに来たことに後悔はしていないよ。
◆移住を検討されている方へのアドバイスがあれば
奥様:私達、初めは土地が広い方がいいと思っていたけど、その分、管理がとても大変!
旦那様:だからって、隣近所は田んぼも畑もきちんと管理しているのに、よそから来た自分たちが何もせず、畑に草を生やしっぱなしにしているのは嫌がるだろうから綺麗にしておかないと・・・って、これはもう百姓の宿命だね。
奥様:私達の場合は、たまたま前の方がトラクターとか耕運機とかを置いてくださっていたからまだ楽だったけど、これ、なんにもなくて畑が広かったら大変!だから、広い田畑付きの家は前の方がそういうのを残しておいてくれているとすごく助かるし、買う時もそういうところを選ぶといいかもしれませんね。
▲高台の敷地から眺める田舎風景。胸をすくような爽快感!
【編集後記】
とても明るく気さくな山下様ご夫婦。一人ひとつの部屋があったという名古屋の大きな邸宅の話、有名なバレエ団に入団されるお孫さんのお話、移住後に旦那様がホコリだらけの屋根裏をピッカピカに掃除した話、畑仕事中の奥様がヘビを咥えて飛んでいく鳶の姿を目撃した話・・・などなど、記事には書ききれないほどたくさんのお話を聞かせてくださいました。
当初の考えやイメージとの違いに戸惑いがあったことを語りつつも、「ここ(田舎)に来たことに後悔はしていない」とのご夫婦の言葉は印象深く、そしてどこか頼もしさを感じました。
お体には十分に気をつけて、今後も充実の田舎暮らしを送られることを願っています。
この度は取材に応じていただき、ありがとうございました。(2021年4月取材)
おうちを訪ねたのは2021年4月のこと。
「いらっしゃい!外はまだ寒いでしょう?さぁコタツにどうぞ」――そんな山下様の優しいお声掛けから、今回の取材はスタートしました。