自然豊かな美作市で地域と共に生きる田舎暮らし
◆移住を決めたきっかけはなんだったんでしょうか?
都会では水道が止まれば水が確保できない、電気が止まったら何も出来ないという生活ですが、田舎では井戸水や湧き水、木さえあれば『かまど』で食事を作ることも出来ます。少しでも自給自足の生活に近づけられる暮らしをしたいと思っていたんです。そのような想いから15年ほど前から自然と暮らす株式会社には定期的に情報誌を届けてもらい、いろいろと夢を描いていました。特に移住に関しては妻のほうが積極的で、長年夫婦でいろんな話をしていましたから妻に任せていました。
◆この物件を購入した決め手はなんですか?
岡山県は晴れの国と言われていますし、災害も少なく原発からも離れているためです。調べてみると、日本はほとんどの所が原発から30km圏内に入ってしまいますが、岡山県は圏外になっておりその点でも”岡山県に”という思いが強かったんです。
◆この物件を購入した決め手はなんですか?
他に希望する物件がありましたが、そこに行く途中に『岡田さんにご紹介したい物件があるので見ませんか?』と言われて案内してもらったのがこの家でした。この家に出会った瞬間『ここだ!』と思いました。まず、この家のシチュエーションが目に入ってきました。裏山をバックにして前には畑、その間の小道を進むとどっしりと構え建つ家屋。次に広い玄関。入ってすぐに部屋というのは嫌だったので玄関の広さも決め手のひとつでした。そして、古民家はどうしても湿気の臭いが多少ありますが、この家は全くなかったんです。きっと持主さんが空気の入れ替えをまめにされていたんでしょうね。最後に家の向かいを流れる川のせせらぎ。とても心地良かったんですよ。この家を案内してもらって、懐かしいような何とも言えない不思議な縁を感じたんですよ。私達を迎えてくれるような印象を受けました。
◆古民家の手直しはどのようにされましたか?
全部和室だったのですが、2部屋をフローリングにして玄関の土間から奥に向かって広く感じられる空間にしました。購入した時、家屋には埃まみれの荷物がたくさん残ったままでした。捨てるのは勿体ないので、棚や机などを綺麗に拭いて飾り棚として使ったり、障子をアレンジしてインテリアとして飾ったりしてみました。お金をかけず、ある物を活かしてリメイクしていくのがとても楽しいですね!まだまだ時間はかかりますが徐々にやっていくつもりです。今ではこの広い玄関にリメイクした物を飾ったりして、ちょっとした喫茶スペースになっているんですよ。ご近所さん交流の場という感じです。履物を脱がなくてもいいので気軽に入れますしね。
◆ご主人はお蕎麦をご自分で打たれると伺いましたが、いつ頃からですか?
教師をしていた頃、生徒の不登校をきっかけに蕎麦栽培を始めました。皆と協力して栽培する事によってその生徒の不登校も治っていったんですよ。その後も、蕎麦作りのおもしろさに魅了されて、蕎麦作りを続けています。蕎麦打ちをされている方はたくさんおられるので、「体にいい」を追求した薬膳そばを試行錯誤しながら作ったんです。今では300食近く、打った蕎麦を知人に送っています。だから年末は大忙し!蕎麦屋さんみたいですよ。送ってほしいと言ってくださる方がいるのでやる気が出ますね。蕎麦は栽培から行っています。昨年移住してからこちらで蕎麦栽培に挑戦しましたが、収穫直前に鹿に食べられてしまいました。今年は鹿対策を万全にして挑戦する予定です。先では、蕎麦屋さんを始めようと思っています。この辺りは全く何もないでしょう。カフェスペースを含めて、人が集う場所を作りたいと思っているんですよ。
◆地域の方との交流はありますか?
地域の方に声をかけていただき、去年から“地域活性化委員会”に入っています。今のままでは限界集落になってしまうということで、移住してきた私達の意見を聞きたいと声がかかったんです。この地域では特産として「こんにゃく作り」をされていますが、思うようになかなか売れないとのこと。そこで、カルシウムや食物繊維も豊富なこんにゃくを女性が好きなスイーツにアレンジすることを提案しました。目下試作中です!今後は更にレパートリーを増やしてイベントも企画したいと思っています。今は、こんなに美味しいこんにゃくがあるということをまず知ってもらうことが大事だと思うんです。このこんにゃく事業がうまくいき、地域が活性化すれば移住も増えるのではないかと思っています。
◆今後田舎暮らしをしたい人へのアドバイスをお願いします。
田舎へ来てみて『鳥獣被害』が多いことに驚きました。私も実際被害にあい、調べてみると市町村から鳥獣対策の補助金が出ることが分かりました。今では畑には網を張り巡らせています。鹿との戦いですね。都会では想像もしなかったことが田舎では色々あるんですね。自然の中で生きていくんですから仕方ありませんよね。だから皆さんも移住する先の情報は事前に収集しておく方がいいですよね。
※取材後記※
本格的に移住されてまだ一年ほどのお二人ですが、地域の方との交流や地域活性化を通じてこの土地にしっかり馴染まれているご様子でした。特に奥様については、こんにゃく開発など地域の方と積極的に関わっていらっしゃいます。それに加えて野菜作りや家のリメイクなど、日々息つく暇もないほどお忙しくされています。そしてご主人については、今後お蕎麦屋さんに挑戦される予定とのこと。人々が集まる場所が出来るのは地域の方にとっても喜ばしいことではないでしょうか。それもまさに地域活性ですね!開店が楽しみです。
(追伸)
ご主人が今朝打ったばかりというお蕎麦をお土産にいただき、早速茹でて頂きました。最初に舞茸がふわっと香るコシがある麺で他のお蕎麦とはまた違った味わいでとても美味しかったです!貴重なお話を伺った上にお菓子やお蕎麦まで本当にありがとうございました。
神奈川県から岡山県美作市に移住して本格的に田舎暮らしを始めたのは去年の夏から。現在の暮らしぶりについて、お話を伺いました。